天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

夕陽のうた(1/10)

四天王寺の夕陽

 夕づく日、夕かげ、落日、落陽、夕映え、残照、とどまらぬ日、落暉なども同様にとり上げる。落暉の「暉」は日の光を意味する。
 源経信は、当時の文学芸術のすべてに達したと言はれた。殊に琵琶では、桂の一流を開いた人であつた。「夕日さす・・・」の歌について、釈迢空は、「「あはれ」が、同化しきれない不純なものを交へてゐる。客観し得ないで、小我を出してゐる。」と厳しい評価をしている。



  春日野に照れる夕日の外(そと)のみに君を相見て今そ
  悔(くや)しき        万葉集・作者未詳


  わたつみの豊旌雲に入り日さし今夜(こよひ)の月夜(つくよ)
  さやけかりこそ       万葉集天智天皇


  ひぐらしの声きく山の近けれや鳴きつるなべに夕日さすらむ
                 後撰集紀貫之
  夕日うつる梢の色のしぐるるに心もやがてかきくらすかな
                建礼門院右京大夫
  浪のうへにうつる夕日の影はあれど遠つこ島は色くれにけり
                玉葉集・藤原為兼
  夕づく日さすや岡辺につくる屋のかたちをよしみしかぞ
  寄り来る     古今和歌六帖・よみ人しらず


  夕日さす浅茅が原の旅人はあはれいづくに宿をかるらむ
               新古今集・源 経信


[注]右上の画像は、「死ぬまでに一度は見るべき!「日本の夕陽百選」に
   選ばれた美しすぎる夕日9選 」から借用した。
    https://retrip.jp/articles/4913/