天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

五月の江ノ島

べんてん丸

 江ノ島の裏磯に行くのに、いつもは辺津宮中津宮、奥津宮と歩いて崖の階段を下りるのだが、今回は境川の河口から「べんてん丸」(片道400円)に乗った。わずか5分ばかりで着いた。裏磯の岩盤に座ってさびき釣りを見ていた。釣り人たちの会話から、鯖がかかっていることが分った。帰りは徒歩にした。裏の道は樹々の深緑に包まれて気持が良かったのだが、日向では30度近い真夏日で、とても五月とは思えなかった。


     海兵の夏服白き奥津宮
     はつ夏や蛸せんべいに列なせる


  江ノ島へべんてん丸の五分間さねさし相模の潮風に揺れ
  から揚げの話してをり磯釣りの糸にかかるは鯖の小魚
  江ノ島の磯に見わたす春がすみさびきに釣れる鯖の小魚
  江ノ島の磯釣り見ての帰り路手摺りつかみて登る石段
  注連縄を巻ける銀杏に手を合せ撫でてゆく女人(ひと)亀石が見る
  海兵の休暇なるらむ江ノ島の店先に立つ六、七人は
  日本人インド人もゐる海兵の六、七人が参道をゆく
  江ノ島の裏道ゆけば深緑の木の間に見ゆる潮寄する岩