天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

夕陽のうた(5/10)

和歌山県・白浜海岸の夕陽

 佐藤佐太郎は終生、斎藤茂吉を師と仰ぎ、岩波書店に二十年間勤めた。全国に多くの歌碑が残されている。「夕光(ゆふかげ)のなかに」の歌は、京都二条城の桜を詠んだものだが、歌碑は千葉県市原市ちはら台にある(平成23年12月3日に除幕)。


  残照の海をそがいに土を薙(な)ぐともしびあかく
  住めば村あり            香川 進


  夕光(ゆふかげ)のなかにまぶしく花みちてしだれ桜は
  輝(かがやき)を垂る        佐藤佐太郎


  葉をもるる夕日の光近づきて金木犀の散る花となる
                   佐藤佐太郎
  遠くより夕映え寒くとどきゐて暮れきらぬものの形をとどむ
                    村野次郎
  かへらざる憧れなれど夕映えてあかがねいろに坂はありたり
                    河野裕子
  昏睡(ねむ)りしままにこの世を脱けてゆく人よ街を大きな
  夕映えつつむ            河野裕子


  遺すのは子らと歌のみ蜩のこゑひとすぢに夕日に鳴けり
                    河野裕子


[注]右上の画像は、「死ぬまでに一度は見るべき!「日本の夕陽百選」に
   選ばれた美しすぎる夕日9選 」から借用した。
    https://retrip.jp/articles/4913/