天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

大磯・鴫立庵の西行像

鴫立庵円位堂の西行像

 閑話休題。「雲のうた」をまとめている時に、西行の旅がしきりに思われた。以前にも紹介したが、彼の足跡をたどって、高野山、京都(嵯峨、東山)、奥吉野、愛媛(崇徳院の白峰陵)、伊勢(二見浦)、小夜の中山、鎌倉、白河の関多賀城址、松島(西行戻しの松)、平泉(中尊寺)、河内(弘川寺) などを訪ねたことがある。
 急に思い立って久しぶりに大磯・鴫立庵の西行像を見に出かけた。いつの間にか入場料が、町外者は300円になっていた。西行像の表情はおおむね苦渋にみちている。特にここの西行像は気味が悪いくらいである。


     涼しさや鴫立つ沢の水の音
     頭に触れて風鈴鳴りぬ鴫立庵
     蚊に刺さる鴫立庵の木陰かな
     こゑ遠きつくつく法師円位堂
     血を吸ひし蚊をつぶしたり円位堂
     西行と蝉のこゑ聞く力石


  西行のいにしへ偲ぶ大磯の鴫立つ沢のつくつく法師
  句碑歌碑のあまたひしめく木下闇鴫立つ沢の水音高き
  寄進者は江戸浜町の富之助鴫立庵に力石あり


なお鴫立庵の力石については、高島先生の『神奈川の力石』に載っていることを、2015年12月28日のところで紹介済みである。