天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

現代俳句の笑いー誇張表現

金閣寺(webから)

 一句のなかに極端な表現を入れて笑いを誘う方法である。
以下の例でいえば、
 百骸九竅: 「百骸」は多数の骨、「九竅」は両眼・両耳・
      両鼻孔・口・前陰・後陰の九つの穴で人体の構成
      要素。転じて、人体。
 十万億土: この世から極楽へ行くまでの間にあるという無数
      の仏土。転じて、極楽浄土。
逆に二句目のように微小なものに表現することもある。


     秋の陽の鱗片を煮る静かな海
     如月の水にひとひら金閣寺
     炎天を百骸九竅(ひやくがいきうけう)運ぶなり
     虫声の海が枕を引きに来る
     維摩詰の方丈を割る石榴かな
     あらぬ方へ手毬のそれし地球かな
     初秋の風は十万億土より


 なおすでに見てきたように、一句のなかに複数のレトリックが共存することは多い。