さまざまな直喩(3/13)
直喩表現の多様性(一)
実態を直接表現する短い言葉が存在しない(未開拓な)場合、既存の類似の状況表現即ち直喩を用いて、読者の理解を助け共感を誘うことになる。
分析の結果から、直喩表現の種類と使用頻度について、以下にまとめておく。
対象句数:28,166 直喩の種類数:39 直喩句数:626(2.22%)
頻度ごとに表現の種類をあげる。なお、「 」の中の語は、同じ種類とみなす。
一位頻度(337句)の直喩: 如
二位頻度(各48句)の直喩: やう(様)、似
三位頻度(27句)の直喩: 「めく、めき」
四位頻度(25句)の直喩: 「―顔、貌、皃、面」
五位頻度(15句)の直喩: ―程
六位頻度(各11句)の直喩: 「さま、様」、 ―げ
七位頻度(10句)の直喩: ばかり
八位頻度(9句)の直喩: ―さう
九位頻度(8句)の直喩:、「なりに、―に」
十位頻度(各6句)の直喩: 「―と、として」、がまし
十二位頻度(5句)の直喩: かたち
十三位頻度(4句)の直喩: 色
十四位頻度(各3句)の直喩:「たぐひ、類ふ」、ここち、―なす、
さながら、こころ
十五位頻度(各2句)の直喩: ―かと、真似、思ひ、―じみ、
―つき、―ぶり、―がち
十六位頻度(各1句)の直喩: ふぜい、もどき、見ゆ、けしき、
―ぎつた、―くさい、―加減、
眼して、―的、―までに、たとへば、
―ごゑ
[参考]中村 明『比喩表現辞典』(角川書店) は、名詞を自然、植物、動物、身体、精神、言語、社会・文化、製品、抽象的関係、活動、状態 に分類した上で、それぞれの名詞に関わる言葉について作家達が用いた一般の比喩表現を例示した特色ある書物である。何を何に喩えるかという内容面の対応を目的として用例が採取されている。