天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

さまざまな直喩(2/13)

岩波書店から

直喩についての分析結果を先に紹介しよう。次のようになっている。


直喩使用状況
 作者   対象句数  直喩の種類  直喩の句数  直喩句の割合
松尾芭蕉   976      4      14      1.43%
与謝蕪村   2,871     17      46      1.60%
小林一茶   2,000     18      51      2.55%
正岡子規   2,306     3      10      0.43%
高浜虚子   3,647     6      92      2.52%
川端茅舎   1,400     4      72      5.14%
松本たかし  1,510     3      24      1.59%
山口誓子   1,983     6      23      1.16%
中村草田男  3,236     14     103      3.18%
川崎展宏   1,843     11      61      3.31%
田中裕明   2,729     14      90      3.30%
夏目漱石   2,507     11      32      1.28%
芥川竜之介  1,158     5      10      0.86%


これから直喩の使用割合が少ない俳人として、[江戸期]芭蕉、蕪村 [近代]正岡子規夏目漱石芥川龍之介、松本たかし [現代]山口誓子 ということが読みとれる。逆に直喩の割合が高い俳人として、高い順に川端茅舎、川崎展宏、田中裕明、小林一茶高浜虚子 などとなっている。なお、正岡子規の使用頻度が最低であることは、後の章で彼の写生論との関係で考えてみたい。