天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

師走の江ノ島

江ノ島から見た富士

閑話休題
クリスマスの電飾は残して正月にも活用するらしい。正月飾りは神社が中心になるようだ。大晦日までは手持無沙汰の感じで、観光客はさほど多くない。辺津宮に上る階段に向かって右手の道、駐在所の前の坂道を歩いた。中学生らしき連中が傍若無人にランニングの練習をしていて、気分を壊された。奥津宮の力石、恋人の丘と回り、江ノ島大師の前の道から中津宮辺津宮へと歩いた。
 相模の海は波が荒かったが、そのかなたに見える富士山は見事であった。ただ今年は冠雪が少なく、神々しさが足りない感じがした。
テレビのニュースで、東日本大震災津波に耐えて残った福島県南相馬市の「かしまの一本松」が枯れてしまったことなどから、伐採される場面を見た。植物とはいえ、命の限界を痛感した。


     雲かかる春待月の富士の峰
     冠雪の少なき富士の師走かな
     春待つや注連縄(しめ)新しき力石
     闇深き水琴窟の師走かな
     飛び来たる鳶と目合はす師走かな
     茹で蛸を買ひ足す師走地下市場
     信号を無理して渡る師走かな


  人の顔見るたび残す歳月の長き短き想ふがならひ
  津波跡に残りて立ち枯れし奇跡の一本松は伐られつ
  歌詠みて今年もをはる極月の草木のいのち哀しかりけり