天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

副詞―個性の発現(11/11)

コールサック社から

おわりに
本稿では五七五というの短い音数律の俳句において、作者の特徴・独自性を発揮する場として、副詞なかんずくオノマトペの工夫があることを見て来た。それは江戸期において、特に小林一茶に顕著であること。そして現代俳句においても川崎展宏の作品に見られるように、継承され新たな工夫が試みられていることを明らかにした。ちなみに近年、短歌や俳句における新しいオノマトペ(但し、既存のものからの派生)の作り方を系統的に分析した興味深い研究もなされている(文献[八])。


参考文献
[一]堀信夫監修『芭蕉全句』小学館
[二]藤田真一、清登典子編『蕪村全句集』おうふう
[三]丸山一彦校注『一茶俳句集』岩波文庫
[四]川崎展宏『春 川崎展宏全句集』ふらんす堂
[五]山口仲美編『暮らしの言葉 擬音・擬態語辞典』講談社
[六]『俳句』2001 年8月号 角川書店。特集「オノマトペ(擬音語・擬態語)の研究」
[七]復本一郎『江戸俳句百の笑い』コールサック社
[八]大野純子「現代短歌・俳句に見る新語オノマトペ」大正大學研究紀要・第九十四輯