天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

音楽を詠む(2/3)

  コンクール目指して競ひし友も今は亡し秋めく陽ざしに楽譜を曝(さら)す

                      大西民子

  夕ぐれはシンセサイザーわれ遂に巣を流したる鳥にかもあらむ

                      岡井 隆

シンセサイザー: 電子工学的手法により楽音等を合成する楽器。

初句二句の解釈が困難。その後の文章は意味は分かるが、上とのつながりをどうつけるか。

 

  コンダクターのまうしろなれば目に据えて楽譜に音楽を見るということ

                      浜田康敬

  夏来れば夏の病気を遠ざけてわが胸に棲み、コマーシャルソング

                      浜田康敬

*コマーシャルソングを思い浮かべながら、夏になっても病気にかからずに、平穏に暮らしている、ということであろう。

 

  われはひとりかそかに笑ひまた泣くと隆起するジャズの肉感のなか

                      春日井建

*三句「また泣くと」の「と」をどのように解釈するか?

 

  モツアルトの鎮魂ミサ曲天使らがごとしウィーンの少年合唱

                      岸上大作

 

f:id:amanokakeru:20201204065833j:plain

シンセサイザー