天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

春になった

 コロナ禍で外出自粛の折柄、なるべく散歩しようと近所の俣野別邸庭園に出かけることにしている。この庭園では、四季折々の草花を見ることができる。春の桜では、河津桜、寒緋桜、玉縄桜、陽光桜、ソメイヨシノ などが順次咲いていく。豪華に見えるのは、ハクモクレンである。そんな花々との出会いを句にしてみた。

     見慣れざる栗鼠におどろく梅の花

     コロナ禍や寒緋桜のうつ向ける

     コロナ禍の換気気にする花粉症

     家うちもマスクしてゐる花粉症

     薬飲み目薬マスク花粉症

     菜の花のおひたし食べる日に三度

     テレビから「今日は啓蟄」の知らせかな

     ひさびさに畦道あるく啓蟄

     球児らの声を遠くに畔青む

     別邸のむかしをしのぶ蕗の薹

     安らぐやハクモクレンの花の下

     濃密な付き合ひになる桃の花

     桃の花? 陽光桜の花の色

     付き合ひは淡きがよけれ雪柳

     空をくる黄砂おそろし雪の富士 

[注]陽光(ようこう)桜: 日本原産の交雑種のサクラ。愛媛県に在住していた高岡正明が天城吉野と寒緋桜を交雑させて作り出した栽培品種。

f:id:amanokakeru:20210315064724j:plain

f:id:amanokakeru:20210315064742j:plain

f:id:amanokakeru:20210315064801j:plain

f:id:amanokakeru:20210315064818j:plain

ハクモクレン、雪柳、桃、陽光桜 (俣野別邸庭園にて)