天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

大樹を詠むーサンゴジュ

 サンゴジュ(珊瑚樹)は、ガマズミ科の属する常緑高木で、よく庭木にされる。樹高は5~12mで、庭木としては高い方。秋に真っ赤に熟す果実がなり、この姿をサンゴに見立てたのが名前の由来。 

  さんごじゆの大樹(だいじゆ)のうへを行く鴉南なぎさに低くなりつも

                       斎藤茂吉

  蜂あまたこもる音して珊瑚樹の下べはしろし散りしきる花

                       中河幹子

  さんごじゅの道にかがやくあな悲し八つ房といひし犬思ひけり

                       玉城 徹

  厚ら葉のいのち輝ふ珊瑚樹の日の移ろへばすなはち冬木

                       千代國一

*珊瑚樹の葉は水分が多く、燃えにくい。防火樹などに利用されている。

 

  思ひ切り夏を伸びたる珊瑚樹の切られて午後の風ややつよし

                      佐佐木由幾

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珊瑚樹