天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

身体の部分を詠むー目(8/9)

  移る世に変はらざるもの並(な)べて親し例へば若ひとの深き眼差

                        黒沼友一

  わが方を見てゐるやうなゐぬやうなこんな小さな目だつたかきみ

                       池谷しげみ

  正月用はまち活け締め千本をさばき眼の下くろずめる者

                       浜口美知子

  目薬の一滴をさししばかりにてわが目は水のかたまりとなる

                        岡崎康行

  霧消えて人も消えたる橋の上 寂しいなあ鮮明に見える目玉は

                       佐佐木幸綱

  眼よりかく差し入りし春の陽身のいづくまでを明るませゐむ

                        古谷智子

  眼(まみ)ふかくあなたはわたしに何を言ふとてもずつと長い夜のまへに

                        河野裕子

*眼(まみ): 通常は目見と表記し、物を見る目つき。まなざしを意味する。

 

  肉眼でみられるために近づいてくるのは箒星だけにはあらず

                        高瀬一誌

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はまち