天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

海棠の花

鎌倉妙本寺にて

 ハナカイドウとも。中国原産のバラ科の落葉低木。「海棠睡り未だ足らず」は、唐の玄宗皇帝が楊貴妃の酔後の姿を評した言葉。雨にぬれた花海棠の風情を美人のうちしおれた姿に譬えたもの。わが馴染みのこの花は、鎌倉の妙本寺や光則寺で見ることができる。


  海棠にえうなくときし紅すてて夕雨みやる瞳よたゆき
                    与謝野晶子
  河豚くうていのち死なまし海棠に春うつくしく雨のふる日や
                    太田水穂
  まなざしは宙にとどまり夕茜のこして散れる海棠の花
                    佐佐木幸綱