鳥のうた(10/12)
ゆふぐれの鳥さけびつつ生きてゆく途上の孤独まぎれもあらず
柴 英美子
くちばしに鳥の無念の汚れゐて砂上に肺腑のごとき実こぼす
小中英之
まどろめる沼に降り立つ白き鳥スカーフ一枚ほどの軽さに
鈴木美江子
*上句の情景描写が不可解。まどろむ、降り立つ は別々の鳥か。
鳥のため樹は立つことを選びしと野はわれに告ぐ風のまにまに
大塚寅彦
昼されば消ゆべき峡の新雪にひとすぢ続く鳥のあしあと
内田民之
*昼されば: 昼になれば、の意味。
みづからのこゑを運びて鳥はとぶメタセコイアのぬれし林に
小池 光
*メタセコイア: 和名はアケボノスギ(曙杉)、イチイヒノキ。樹高は生長すると高さ25-30 m、直径1.5 mになる。
飛び立ちし鳥の重みに弾かれて小枝はしばし揺れ止まずあり
間 瑞枝