天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鳥のうた(11/12)

  空に鳥あれば言葉はあわれなり鉤になれ鳥、竿になれ鳥

                       三枝昂之

*空を飛ぶ鳥の群を見た時に浮かぶ言葉について詠んだようだ。

 

  みつみつと新葉重なる樹の中へ入りゆき鳥のまどかなるこゑ

                       人見邦子

  翔る鳥の影を歓び遠く見るはてははるかに影を作らず

                      大河原惇行

  鳥たちはいまも眠るか山奥の滝は活気に覚めてしぶけり

                       大滝貞一

  谷瀬ふかく朝の光は流れむと静かにわたる鳥のさへずり

                       大滝貞一

  鳥よりも魚が好きなりああ鳥は体温たかくびくびくとせり

                      松村由利子

*作者は、鳥の肉を食べるとき、下句のような情景を想うようだ。

 

  鳴きのぼり空を出られぬ鳥のこゑ青葉のときを美しくする

                      小島ゆかり

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山奥の滝