空に鳥あれば言葉はあわれなり鉤になれ鳥、竿になれ鳥
三枝昂之
*空を飛ぶ鳥の群を見た時に浮かぶ言葉について詠んだようだ。
みつみつと新葉重なる樹の中へ入りゆき鳥のまどかなるこゑ
人見邦子
翔る鳥の影を歓び遠く見るはてははるかに影を作らず
大河原惇行
鳥たちはいまも眠るか山奥の滝は活気に覚めてしぶけり
大滝貞一
谷瀬ふかく朝の光は流れむと静かにわたる鳥のさへずり
大滝貞一
鳥よりも魚が好きなりああ鳥は体温たかくびくびくとせり
松村由利子
*作者は、鳥の肉を食べるとき、下句のような情景を想うようだ。
鳴きのぼり空を出られぬ鳥のこゑ青葉のときを美しくする
小島ゆかり