天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

青葡萄

 ブドウの品種には、ワイン向けのヨーロッパ系と耐病性の高いアメリカ系の二系統がある。この二つの交雑種が、生食用の品種として多くを占めている。シャインマスカットやロザリオビアンコが贈り物としてよく知られていよう。色づく秋の葡萄とは別物の感じ。特に俳句では青くて食べられないころの果実を指す。

 

     濁流に日のあたりたり青葡萄       山口誓子

     鼠出て月をうかがふ青葡萄        加藤楸邨

     甲斐なれば癩園青き葡萄照る       中島斌雄

     青葡萄命名以前は未だ神の子       醍醐育宏

 

  童貞のするどき指に房もげば葡萄のみどりしたたるばかり

                         春日井建

 

青葡萄