天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ぼんぼり祭

ぼんぼり祭

 今年も鎌倉八幡宮で八月六日からぼんぼり祭が始まった。以前、
点灯時分に訪れたことがあるが、最近はとてもそれだけの元気がない。
それで今年は炎天の昼間に出かけた。文人墨客政治家の手書きになる
献灯を見てまわる。朝丘雪路、清水基吉、扇千景石原慎太郎
山本富士子竹中直人榎木孝明尾崎左永子など。
歌人俳人の例をふたつ次にあげる。
  ひるがほの眠たきまでの薄色に七里ヶ浜がふくらんでゆく
                  前川佐重郎
   新涼の波間に放つ四つ手網   星野 椿 


 八幡宮境内から寶戒寺、本覚寺へと歩く。


       文人のぼんぼり探す秋の風
       蓮の葉の風にふかるる木陰かな
       おほむねは白き蓮咲く源氏池
       すべて白き蓮の花なり平氏
       油蝉いろはもみぢの枝に鳴く
       新涼の風にふかるる蓮かな
       百日紅けっこう咲くと寺の門
       みんみんもにいにい蝉もこの世なる
       無患子の梢かがやく蝉の声
       声明の施餓鬼供養や百日紅
       妙法に蝉あまた鳴く施餓鬼かな
       走り去る車に戦ぐ立葵

   炎天に明り消えたる雪洞の作者見てから絵柄を愛づる
   著名なる文人政治家俳優のぼんぼりあればデジカメに撮る
   夕さればひとつひとつのぼんぼりに灯り点して禰宜巫女がゆく