天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蓬莱橋

蓬莱橋

JR東海道線・島田駅から蓬莱橋までは、タクシーでほぼワンメータの距離である。
橋の往復料金は百円。橋の入り口に吉田弦二郎の句碑「しくれけり暮るるもあはれ大井川」、また、つぎのように読める石原純の詩碑がある。
      〃 五百五十米のながい木橋がゆらゆらと揺れる
        たよりない人生の一路のやうな
        橋番の小屋は蚊いぶしの煙がもうもうと立つ
        あはれ番人のあかい顔 〃
     
        蝉しぐれ水の乏しき川わたる
        蓬莱の由来かたるや秋の鐘
        川中の木立にふるや蝉しぐれ   
   手すりなき蓬莱橋を渡りつつ川の木立の蝉しぐれ聞く
   茶畑を開墾したる幕臣が川渡らむと木橋かけにき
   慶喜につき従ひし幕臣が茶畑拓き木橋渡せり
   大井川蓬莱橋を渡るとき旧幕臣の辛苦を想ふ
   大井川蓬莱橋を渡りゆく手を携へし老婆がふたり
   杖つきて蓬莱橋を渡りゆき長寿の鐘をつきて帰り來