天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

車窓から見る観世音

山の観音

 ぼんやりとバスを待っていたら、道路を隔てた向かいの家の庭に、百合の花が数本見えた。そのうちのひとつが、風もなさそうなのに、イヤイヤをするように首を振りやまない。変だなと思っているとぽとりと落ちた。
       ささゆりの花揺りおとす朝の風
   首ふりの常ならざれば落ちにけりほの吹く風に
   ささゆりの花


 電車の窓から小高い丘の上に観音像が見える時がある。湘南地区では、大船観音が有名で白いから目立つ。それとは別に、戸塚駅から大船駅に向かう途中の戸塚よりの左手に青黒い観音像が立っている。最近気になっていたので、訪ねてみた。曹洞宗福聚山・盛徳禅寺という。小さな寺だが、江戸時代から知られていたらしい。ただし、福聚山という山号は、日本のあちらこちらにある。狭い境内に立つ観音像自体は新しく、台には大川観音霊廟と書いてあった。台の中は納骨堂になっているのであろうか。
       秘蔵江戸絵巻の禅寺さるすべり


 判ったことはこれだけである。帰りに藤沢の本屋で、現代詩手帖特集版の「塚本邦雄の宇宙」を買った。