みどりなす風がささやく円覚寺惚けたる母にやさしくあれと
[評] とかく惚けたる者には、いらいらさせられて心落ちつかないものである。円覚寺の緑なす風に吹かれていると、惚けたる母を大事にやさしくしなさいという思いがわいてきて、自分に言いきかせているような心情がでていてよい。 藤岡武雄
素手に拾ふ銀杏臭きをみなかな
片蔭に外人ふたり幕の内
献木の陰のベンチの三尺寝
雲ゆきて西日かげらふ茶室かな