天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

里山

朝顔

 今日から十月だ。座間谷戸山公園にいってみる。電車の中で、白川静の『文字遊心』を読む。公園の中には野鳥の観察小屋があるが、晩秋から早春にならないと姿を見ないようだ。小鳥の鳴き声がどう聞こえるか書いてある。

フクロウ: 五郎助奉公ボロ着て奉公
メジロ:  長兵衛忠兵衛長忠兵衛
ホオジロ: サッポロラーメンミソラーメンゲンベーツツジシロツツジ
センダイムシクイ: 焼酎一杯グビィ
コジュケイ: 一寸こいチョットコイ
イカル:  お菊にじゅうしー
ウグイス: 法―法華経


        相模野に大山かすむ運動会
        里山の朝すがすがし鵙の声


 「狂」「真」の文字の語源にさかのぼり思想史を説く白川静
 およづれのたはごと言へる狂人を受け入れし王のいにしへ思ほゆ
 青白き朝顔はつか揺れにけり座間里山に秋風を聞く
 里山の秋ふかみゆく竹垣にひとむれ青き朝顔の花
 うらぶれて案山子立ちたる里山の稲田の畦に咲く彼岸花
 小鴨二羽水尾ひきおよぐ秋風の水鳥の池さざ波のたつ
 郭公の雛も育てし葭原にオオヨシキリの去りて秋風
 湧き水は座間丘陵に降りし雨ホトケドジョウの生をやしなふ
 時折に水湧き出づる音聞けばホトケドジョウのこの世思ほゆ
 ボランティア昼の休みを将棋うつクヌギコナラの木漏れ陽の中
 六地蔵のよだれ掛より赤かりき曼珠沙華咲く伝説の丘
 座間丘陵伝説の丘に立てば見ゆひときは高き大山の峰
 どんぐりの落ちてころがる踏切に小田急電車の過ぐるを待てり


 公園を出て、小田急線の反対側にある坂東第八番・星の谷観音にゆく。正式には、妙法山星谷寺(しょうこくじ)と称する。真言宗大覚寺派に属し奈良時代に建立された。本尊は聖観世音菩薩、行基が開基である。

        お大師の行脚しのべや酔芙蓉
        石仏の首みなとれし秋の風
        赤とんぼ水琴窟の竹筒に