天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

天園

瑞泉寺の紅葉

 天気予報どおり今日からえらく寒くなった。鎌倉にいく。鶴ヶ丘八幡宮瑞泉寺、天園、明月谷と紅葉を探って歩いた。

       山門に紅葉かぶさる朝日かな
       山茶花や鐘楼くらく鎮もれる
       天園やもみぢの谷戸をのぞきこむ
       ありし日の幹をしのべり冬桜
       笹鳴や人を隠せる薮の丈


   黄葉の銀杏大樹にまむかへば刃隠せる公暁顕ちくる
   着飾れるお宮参りの若宮の朝日に照れる紅葉うるはし
   たからかに太鼓鳴らせる若宮の空に飛び交ふ白鳩の群
   うち鳴らす太鼓の音をことほぎて白鳩が舞ふ若宮の空
   軒下に掛けたる札の大きさに数種類あり初穂の値段
   大いなる椨が根を張る巨福山幹のまなかに折れし樹もあり
   大木に寄りて見上ぐる黄葉の透くばかりなる色のかなしき


 八幡宮の若宮でお宮参りの初穂料のことをたずねていたら、歌人将軍実朝への献歌応募用紙があったのでもらってきた。兼題「海」または自由詠で、千円を添えて十五日までに提出することになっている。次のような歌はどうであろう。

   将軍の夢のはかなき和賀江嶋いくりにはつか波の寄る見ゆ
   和賀江嶋跡のいくりに波の寄るおだしき海となりにけるかも