天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

体言止め

吾妻山の水仙

 今朝の相模湾は光の洪水だ。二宮町にある吾妻山にゆく。東の斜面のところどころに水仙の花をみつけた。師走の山頂の風はさすがに冷たい。が、すでに菜の花が咲いている。その向うの冬晴れの空に、雪を装った富士がきわやかである。

        冬朝の海にあそぶや光の子
        菜の花や雲湧き出づる富士の峰
        冬晴や雲の離れぬ富士の峰
        菜の花や光れる海に島ふたつ

  逝く年のひかりあまねき東海の朝日にむかふ水仙の花
  吾妻山はや菜の花の咲き出でていづくより來る蜜蜂の声
  逝く年の朝の光にかがよへるさねさし相模の海の釣舟
  まなかひに白き富士たつ年の瀬の注連あたらしき浅間神社
  年の瀬の風にさはだつ紅葉の木の間に見ゆる大山の嶺
  年の瀬の光まぶしきうなさかに黒ずみうかぶ二つ島影