天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

神機

 新年になって今日初めて靖国神社に散歩にいった。拝殿・社頭掲示板には、「前線基地より」という今月の遺書が書かれていた。それに昭和天皇の次の御製を印刷したチラシがあったのでもらってきた。迎年祈世という題で、昭和十五年作。
   西ひがし むつみかはして 栄ゆかむ 
   世をこそ祈れ としのはじめに

 遺書を書いたのは富嶽特別攻撃隊所属の陸軍大尉(死後中佐に昇進)で、昭和二十年一月十日にフィリピン群島にて戦死。前線基地で特攻の神機を待っていることと日本のすばらしさを書いていた。


   特攻の前線基地でしたたむる神機到来を元気に待つと
   特攻の武運に恵まれざりければ帰還せしこと手紙に書けり
   前線にありて長生きせし故に大尉に進級せしと自嘲す
   特攻の目標位置を突きとむることの難きを嘆くがごとく
   然し神機は刻々近づきつつありと陸軍大尉の手紙は続く
   日本の良さ、有難さ、美しさ身にしむといふフィリピン群島
   そのうちに新聞記者の撮りくれし大尉の軍服姿とどくと


        天地(あめつち)の吹き払はれて淑気かな


参集殿横には、全国神社奉納絵馬展ということで、全国の神社で今年の戌年用に作られた絵馬が掲げられていた。素朴なのあり豪華なのあり、壮観であった。