天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

軍人志願

 とっくに月が替わっていたが遅ればせながら、靖国神社拝殿社頭掲示のコピーを貰ってきた。昭和六十二年作の次の昭和天皇御製も載っている。崩御が二年後であったから、残念も深かったに違いない。


    思はざる 病となりぬ 沖縄を
    たづねて果さむ つとめありしを


 遺書の主人公は、戦死後の階級が陸軍軍曹で、ふたりの妹に宛ててあった。


  軍人を志願してより身体は捨てたつもりと書き残したり
  くれぐれも父母に孝養尽すこと妹ふたりに頼みおきたり
  愛知県出身二十一歳がフィリピンルソン島にて戦死
  漢字まぢりカタカナの遺書ごつごつと妹ふたりに父母を頼めり
  果たせざるつとめありとぞ詠みたまふ病は篤き昭和天皇      
  サバンナのこの瞬間に死ぬもののあるを思へり通勤電車に