里山桜
鳰(かいつぶり)水面にながす白き糞
水音の谷戸にまぶしき金鳳花
木道の谷戸の湿地やいぬふぐり
水ぬるむ谷戸に生き継ぐヨシノボリ
首とれし石仏ならぶ玉椿
透きて見ゆコナラクヌギの裸木の林に白き里山桜
おほかたは老人なりき池の辺にカメラかまへて翡翠待てり
丈高き木立の中に生ひ立てり梢見上ぐる里山桜
ヨシノボリ仏泥鰌の生き継げる音のかそけきわき水の谷
池に佇つ嘴長きアオサギの視線の先に水面にごれる
アオサギの羽づくろひせる池の辺にはこねうつぎの
みどり萌えたつ
うすうすとはこねうつぎの萌え出でてみどりににごる水鳥の池
萼赤く白き花咲く唐桃の木末にあはき浮き雲の空
萼赤く白き花咲く唐桃は杏子とも言ふ伝説の丘
東海道鉄砲宿の道の辺にひときは白き大島桜