天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

里山桜

     鳰(かいつぶり)水面にながす白き糞
     水音の谷戸にまぶしき金鳳花
     木道の谷戸の湿地やいぬふぐり
     水ぬるむ谷戸に生き継ぐヨシノボリ
     首とれし石仏ならぶ玉椿
     
  透きて見ゆコナラクヌギの裸木の林に白き里山
  おほかたは老人なりき池の辺にカメラかまへて翡翠待てり
  丈高き木立の中に生ひ立てり梢見上ぐる里山
  ヨシノボリ仏泥鰌の生き継げる音のかそけきわき水の谷
  池に佇つ嘴長きアオサギの視線の先に水面にごれる
  アオサギの羽づくろひせる池の辺にはこねうつぎの
  みどり萌えたつ


  うすうすとはこねうつぎの萌え出でてみどりににごる水鳥の池
  萼赤く白き花咲く唐桃の木末にあはき浮き雲の空
  萼赤く白き花咲く唐桃は杏子とも言ふ伝説の丘
  東海道鉄砲宿の道の辺にひときは白き大島桜