天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

花の千鳥ヶ淵

花の千鳥ヶ淵

 千鳥ヶ淵の櫻並木がほぼ満開になった。先週末の段階ではまだまだ咲きそうにないと見ていたのに、驚くべき速さである。昼休みには、近くのビルに勤めるサラリーマンや靖国神社参拝の客などが、花見に出てきて千鳥ヶ淵周辺の道はエライ混雑であった。


     咲きみちて堀になだるる櫻かな
     花見客どっと笑へり猿回し


 今日届いた「短歌人」四月号に掲載のわが作品をあげておく。


          大磯
  大磯の裏山ゆけば春ちかし小さき祠に九尾のきつね
  鳥さへも近づけまいにトゲトゲのシナヒイラギは朱き実をもつ
  大磯の城山にありし財閥の別荘跡をうらやむ我は
  大磯の血洗橋に佇みて吉田茂の宅地跡見る
  潮騒に身を洗はれて歩きけむステッキつきしこゆるぎの浜
  余呂伎(よろぎ)とは波の動揺大磯の浜に座りていにしへ偲ぶ
  うすみどり春の香はこぶ潮風に襟立ててゆく小淘綾(こゆるぎ)の浜
  如月の雑木林に鳥むれて声にぎはしく春告ぐるなり