天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

石切場

竹の子

 真鶴岬を歩く。駅から荒井城址公園にゆく。ここは後三年の役(一0八三年)に源義家にしたがって活躍した荒井実継の居城の場所。のちに土肥氏の出城となり、また後北条氏時代にはのろし台が置かれた。山頂一帯の釈迦堂遺跡からは縄文式土器や石器類が出土した。半島の尾根道のところどころから西側の海岸に降りる道がある。尻掛海岸、大浜口、高浦と三箇所に降りて見た。いずれも小さな海岸である。
明日から連休が始まるが、今日はバスもすいており、静かであった。


     初つばめ飛行機雲の先光る
     筍の皮のみ残る藪の朝
     風かをる中川一政美術館


  藤棚の藤の花房垂れたれば色香に狂ふ蜜蜂の群
  腹出せるボート重ねて夏を待つ天草干せる尻掛の浜
  青旗をかかげて波にたゆたへり大浜口の二艘釣船
  引潮の浦の岩場にはりつけり天草摘める茶髪の老婆
  釣舟のエンジン音のひびかへる大浜口に天草を摘む
  寄る波に積まれし石の荒々し大浜口のすかんぽの花
  良心の墓場と書ける看板のかかりて暗き道の辺の森
  みぎひだり下りればふるき石切場真鶴岬の尾根道をゆく
  石切場跡に何かを作るらし土を運べる大型トラック
  丈高き椰子の木ならぶ公園に里桜散る真鶴岬
  広葉樹ふるき松の木しげり立つ若葉まぶしき真鶴岬
  石切場跡に自動車とどめ置き岩場に伸ぶる磯釣りの竿