天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

五月雨

御感の藤

  このところ梅雨のような毎日である。菜種梅雨の時期は過ぎているので五月雨というべきか。テレビでどこだったかの藤が満開だというのを見て、小田原城に行った。樹齢約二百年の「御感の藤」があるからである。天守閣広場から報徳二宮神社を回り、南木戸口の堀端にある藤棚へ。天守閣広場にはいくつか動物の檻がある。孔雀が時折鋭い鳴声を放つ。報徳二宮神社は、二宮尊徳を神として祀ってあり、金次郎の例の姿のブロンズ像がある。現代の子供たちには二宮金次郎といっても分らないのではないか?「御感の藤」は残念ながら花の盛りを過ぎていた。


     さみだれや象舎にのぞく象の顔
     藤棚の花房はつかゆれにけり
     楠若葉御茶壺曲輪のあるじなる
     小田原城雨よろこべる菖蒲かな
     さみだれや孔雀は高き止り木に

  穴熊の夫婦寄り添ひふるへをり檻を濡らせる春の長雨