秋桜
コスモスの季節になった。メキシコ原産のキク科の一年草。日本には幕末に種子が入り、明治になって秋桜の名がついたという。白、ピンク、紅などの色がある。コスモスは、「飾り」という意味のギリシャ語。草花なのに木に咲く桜の花とどういう関係があるのか、なにげなく見ていてはさっぱり名前の由来がわからない。白やピンクの花だけを正面から見ると、ああ、確かに桜に似ている。
「秋桜」という言葉が使われた明治期の俳句や短歌を探してみたが、容易には見つからない。コスモスの方が多い。
秋ざくら砂利敷かれたる家の前 瀧井孝作
せんせんと小溝ながるれ崖したに咲きみだれたるコスモスの畑
中村憲吉
にほどりの葛飾野呂の秋をふかみ咲き乱れたりコスモスの花
尾山篤二郎
すつぽりと抜け落ちて散る凌霄花
膝枕きちきちとべる吾妻山
秋風や機嫌の悪きアライグマ
秋風や豚のねむりの息長き