独立した結句
俳句は言うに及ばず短歌でも、取り合わせあるいはモンタージュは主要な詩的技法なので、頻繁に使われるが、二物間の関係に想像が及ばない時、解釈に行き詰まることがある。独立した結句の場合につき、前登志夫の例を見てみる。
くちあけてみな眠る夜に小石ふみ覚めてゐたりき証(あかし)に
あらず 「子午線の繭」
*難解な歌である。独立した結句「証にあらず」をどう解読
するか?何の証でないのか?が想像できればよいのだが。
稲架(いなはざ)となしける古き架け松の枝張りてをり冬の旅人
「霊異記」
*結句「冬の旅人」が独立している。枝を張っている主体は
架け松である。古松の張り出した枝に稲を架けた田園の中
を旅人がゆく初冬の情景を詠ったもので、解釈は容易である。
[追伸]冬の旅人=古き架け松 とすなおに解釈する(川井さん)
のが情景としても自然である。