びっくり評
「歌壇」二月号の読者歌壇で、わが歌を取り上げて次のように評してくれていた。
滝おちてくれなゐの橋かかりたり山を彩るもみぢかへるで
[評]端的な一首である。言葉と眼前の景色の間に些かの
間隙もない。滝の水幅を横切って枝を差し延べる紅葉を
橋とする見立ては、如何にも艶でありながら騒がしくはない。
うしろの山は山紅葉の時であろう。漢詩が添えられればよい
一首かと思う。 米田律子
最後の言葉「漢詩が・・・」にはびっくりした。昨年、「箕面に遊ぶ」という題で紹介したように、この歌は箕面の滝を詠んだものである。そこには母を伴って遊んだ頼山陽の漢詩碑があったのだ。評者の米田律子さんは、まさかこの情景を思われたわけではなかろう。言葉の喚起力と評者の感受性に、ただ驚くばかりである。