立春の歌会
昨日が節分、よって今日は立春。午後から「短歌人」横浜歌会が、戸塚の横浜女性フォーラムで開催され、10名が参加。気候は不気味なくらい暖かく穏やかであった。題詠は「布(木綿、絹、麻など可)」。作者名を伏せて、題詠に出たコメントを簡単に紹介しておこう。
塾にゆく由紀をよび止めうす絹のスカーフ巻きぬ カチューシャ
にまく
*「巻きやる」とすべき。カチューシャという巻き方は、現在では
かえって新鮮に響く。
羽二重の産着まといて抱かるるみどりごに逢う風の坂みち
*「まといて」は変。「みどりご」や「風の坂みち」は、詩の
常套句なので避けたい。
眼隠しの黒布拒みてフセインは虚像貫き刑死せりけり
*主観の「虚像貫き」が説得力を欠く。ここまで言っては共感を
得られない。
更紗着て海の町ゆくわれは今きみの目の前を消えてきたところ
*上句で鮮明なイメージが立ち、ロマンを感じる。更紗が唐突とか
「海の町」という言い方は荒いとか、三句以下には賛否両論。
寒の日の木綿豆腐は正しくて四角く白くかくやわらかし
*「正しくて」がポイント。寒の日の木綿豆腐はいかにも硬そう
だが、結句の「やわらかし 」が納得できるか。
ひらひらとポリエステルのスカートが冬の神話を崩しはじめる
*上句は、軽い感じで良いとして、「冬の神話」が少し重いか。
でも旨い歌といえる。
Yシャツであった布きれビニールに集めゆく人の青き顔みる
*情況が理解しにくい。何故Yシャツであった布きれとわかる
のか。それだけを集めているのか。「青き顔」が何か意味
ありそうに目立つが、読者にはわからない。
撫でられてつやつや光る太っ腹谷戸のやぐらに布袋ゑまへり
*ああそうですか、それで? ということで物足りない。
むかし母の借り着するより洗ひ着せと言ひしも今は通用せぬ世
*「今は通用せぬ世」までは言わなくもがな。「洗ひ着せ」が
寸詰まりだが、方言なのか?