天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

短歌の音楽性

 「短歌現代」3月号で、「一首の音楽」という特集を組んでいる。まだ全部を読んではいないが、大変参考になる。中で小池光の評論「目で聴く音楽」は、他の評論との関連・対比で示唆に富むものである。文字に書いた短歌には、朗詠では感じられない、というか漏れてしまう音楽的要素がある、という指摘である。彼によると朗詠された作品は、文字で読む同じ作品とは、感受において別物になるという。朗詠では、字面の感触が表現しにくい、どころか不可能に思えるのだ。
 ただ、先日テレビ放映された藤沢周平原作「隠し剣―鬼の爪―」で、大和歌としてキエ役の松たかこが歌った和歌には感動した。いわゆる短歌朗詠の臭みが全くなく、極めて素直に響いた。大和歌という呼び方を尊重したい。