天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

雛罌栗の花

上:矢車草 下:雛罌粟

 漢名を虞美人草、麗春花という。英語名はポピー。フランス語名はコクリコ。といえば、次の与謝野晶子の歌を思い出す。

  ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君もコクリコわれも
  コクリコ


ついでに、窪田空穂の雛芥子の歌も。

  咲き出でし雛芥子の花くれなゐのひたすらにして
  あはれなるかな


近場の見どころといえば、久里浜がある。JRの駅を出た広場の畑一面に咲いているし、尻こすり坂に向って左手にある「花の国」には、もっと大規模に植えてある。その雛罌粟の横には、矢車菊が一面に咲いている。これは矢車草ともいう。昨日あげた石川啄木の歌にでてくる。


  仕事なきわが水曜日久里浜のポピー見にゆく尻こすり坂
  高圧線下にゴジラの仁王立ち黄なるマフラー首に垂れたり
  みぎひだり赤きロープが長く垂れかたみに引けば鳴る
  「愛の鐘」


  輪になりて足湯に浸る久里浜の風ふく丘にハーブ花咲く
  膝小僧出して足湯のハーブ園女ばかりにわが入りがたし
  疑問符は「乙女らしさ」の花ことば蕊黒く咲くコクリコの花
  水色の花に蜜蜂おびき寄せ交配したり矢車菊
  ヒナゲシヤグルマギクと隣り合ひ炎と水の色を競へり
  スパイスとして欠かせざるラベンダー紫蘇科ラバンジュラ属の
  むらさき


  果物の桃とは違ふ白き花中国原産バラ科のモモは
  淡青の花の言葉は「愛国心」ハゼリソウ科のコモンカラクサ
  ペリー提督戸田伊豆守はす向かひいづれ劣らぬ二つ胸像
  江戸末期黒船四艘来し浦を白き水脈ひきフェリー出でゆく