天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

河骨の花

箱根湿性花園にて

 箱根仙石原の湿性花園に行ってきた。河骨の花を見るためであったが、春から初夏にかけての花がいろいろ咲いていた。今後、いくつかを追々紹介する。
 河骨とは異様な表記であるが、どうやら根茎に由来しているようだ。根茎は太く横臥。それを乾燥したものを川骨(せんこつ)といい、強壮、止血など薬用にする。睡蓮科の多年草である。
 湿性花園の入園料が、大人一人七百円にはびっくりした。すこし前までは、六百円だったはずで、その時も高いと感じたのに。観光客がずいぶん入ってはいるが、維持費含めて採算をとるのに苦労しているのだろう。悪いくせで、箱ものや施設を見ると直ぐに経営状況を気にしてしまう。
 話を元にもどす。河骨の花は、根茎に似合わず可憐で小さい。望遠レンズを付けていないので、撮影するのにえらい苦労した。


      早川の瀬音に散るや花空木
      空に散るガラスの森の花空木
      砲撃の音に愕く花空木
      河骨に身をのり出だす木橋かな
      湿原の木道に聞く青蛙


  沼の面に身をのり出だし手を伸ばしシャッターを切る河骨の花
  黄の花に混じりて紅き花もあり小さき明りの河骨の花
  河骨の黄なる花咲く水の面にあそびてまぶし朝の光は
  国を守る音と思へどうそ寒し箱根連山砲撃に揺る
  砲撃の音の止まざる山間の湿原に見る河骨の花
  ヒマラヤの芥子の花咲きはかなげに空色こぼす湿原の隅
  シュレーゲルアオガエルとふ名を貰ひカラコロコロロ湿原に
  鳴く


  カラコロと青蛙鳴く湿原のかなた香れる山藤の花
  水底に葉をひろげたる河骨に影を落とせる魚アブラハヤ