天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

立葵

あしがら郷にて

 紫陽花の季節の次の行動パターンは、南足柄の開成にあるあじさいの里に行くこと。紫陽花だけでなく立葵も畦道に咲いている。立葵は中国原産、花葵ともいう。多年草で、茎は直立して高さ二メートル余りにもなる。
 ただ、今年は最悪であった。あじさい祭開催の初日に行ったのだが、雨が降り始め、雷まで鳴り出す始末。小さな傘では役に立たず、濡れそぼってほうほうの体で引き上げた。そして帰りの小田急線では、下高井戸付近で人身事故があったとかで、ダイヤがメタメタ。雨に濡れたシャツやズボンが乾いてしまうくらい時間がかかった。


      鮎釣の雲行き怪し酒匂川
      足柄の水音高し栗の花
      足柄や雨にけぶれる立葵
      紫陽花の雨の浸み込む脛こむら
      朝取りの野菜を売るも額の花


  今日からのあぢさゐまつり足柄の山並み隠す黒き雨雲
  早苗田の畦道に咲く紫陽花の色定まれり雨の足柄
  畦道に紫陽花ならぶ早苗田の雨足高きあしがりの里
  足柄の畦道に売る朝取りの野菜を買ふも紫陽花の客
  上流に雨ふるらしも鮎釣れる川瀬の水の濁りたる見ゆ
  山近く雲湧き出づるあしがらの里にとどろく水神太鼓