天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

挑発する

 「藍生」6月号・黒田杏子主宰の巻頭作品から。以下のような例はどのような意図を持つのだろうか。まさか会員の意見を聞きたいわけではない。会員のいちゃもんを受け付けるスペースは会誌にないからである。かといって、こういう俳句を奨励しているとは思えない。主宰が会員を挑発しているのだ!


      健康文運黒髪寒満月
  *漢字を五七五の音韻に合わせて並べただけ。意味不明。


      比良山の雪割草の花の鉢
  *十五音の一名詞句。述語はないが、助詞「の」で修飾語
   を連結し、座五の説明をしている。


      龍太忌茂吉忌二月二十五日
  *龍太と茂吉が亡くなった日が、奇しくも二月二十五日で
   あったことを強引に俳句の形に収めてみた。俳句の韻律を無視。


      三月のけふで終りの白魚鍋
  *これも一名詞句だが、動名詞「終り」を含むので、述べる
   感じはでている。


      三笠山うさぎまんぢゆう花の句座
  *「三笠山うさぎまんぢゆう」が出た桜の季節の句座であった、
   ということなのだろうが、複合語の固有名詞なら、それと
   分かるように括弧に入れるかしないと、意味が分裂する。
   三笠山を見ながらの、うさぎまんじゅうを食べながらの句座
   とも読める。


      残花巡れる荷を軽く人遠く
  *七五五の構成なのか?理解不能