天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

冬ざくら

瑞泉寺にて

 道路際の草叢には赤い彼岸花が目立ち始めた。以前に白い彼岸花を見てからというもの、彼岸花の季節になると、無意識に白い花はないかと探している。ところが、鎌倉・瑞泉寺の庭園にきて驚いた。白い彼岸花ばかりが咲いている。群れていないので注意して見なければならない。本堂裏の断崖を削った庭園には、洞窟前の砂地に一本、すこし離れてまた一本と咲いている。後で気付いたが、本堂前の庭園にも石の傍に二、三本あった。
 秋の瑞泉寺にきて先ず気になるのが、水戸光圀が植えたと伝える冬ざくらである。梢のところどころに小さな花弁をつけるので、寂しい風景になる。それが咲き出していた。


      彼岸花テニスコートの声若き
      雲はしる砂地に白き彼岸花
      光圀公お手植ゑといふ冬ざくら
      松籟の風ふところに秋の僧
      平氏池おそまきながら白はちす


  暑き日をしのぎてくらす竹林の白き粉を噴く竹の節々