天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

宿り木

藤沢・白旗神社にて

 やどりぎ。寄生木とも書く。落葉樹に寄生するヤドリギ科の常緑寄生植物で、根が寄生の木の梢の中にくい込み、大きな瘤をつくる。雌雄異株。ほや、ほよ、ほい、とびづた などとも呼ばれる。


  おしなべてうみ湖昏るるとき寄生木の食ひ
  込みて立つ榛の幹は見ゆ   真鍋美恵子
                       
  宿り木の青みわたれる森を行くつめたき陶の
  卵を持ちて         大西民子

                       

 藤沢の白旗神社にいった際に、ケヤキの大木の枝に瘤をつくっている宿り木を見つけた。二箇所にあると思ってよく見たら、ひとつは空の鳥の巣であった。


      宿り木をうらやむ欅落葉かな
      銀杏ちるゲートボールの五、六人
      川の辺に鶺鴒集ふ師走かな


  冬枯れの木にあをあをと繁りたる鳥の巣やうのひとつ宿り木
  せはしなく背黒鶺鴒啼きとべり泡ながれくる野川の水辺
  鵜の鳥は水面すれすれ飛びゆけり泡の流るる野川を上へ