短歌朗読(5)
『現代歌人朗読集成』には、釈迢空の長歌、短歌も載っており、彼の肉声の朗読が収録されている。ただ、とまどってしまうことに、句読点やスペースが記入されているにも関わらず、朗読における間の取り方、息継ぎの場所とほとんど無関係になっている。
例えば、つぎの歌。「スペース」「、」「。」の区別がされていない読み方になっている。
赤花の 照りしづかなる昼なれば、よらずや行かむ。
巫女可(のろくもい)の家
和歌に句読点を入れる方法は、釈迢空独自の工夫だが、その意図はどこにあったのか理解できない。迢空の表記法を岡野弘彦が引き継いでいるが、『現代歌人朗読集成』に載る岡野の歌には、この表記法が使われていないため、朗読法との関係を知りようがない。ここでの岡野の読み方は、五・七・五・七・七の韻律に従っているにすぎない。
もしかして、そうは思いたくないのだが、単に釈迢空の朗読の仕方が下手でせっかちだったにすぎないのか?