天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

 魚偏に雪と書くようにこれもまた冬が旬の食材である。マダラ、スケトウダラ、コマイなどが日本近海で取れるタラ科の仲間。北方の冷たい水を好み、深海といってよい深さに生息する。が、産卵期の十二月から一月にかけて、沿岸近くに集まってくる。とれたばかりなら刺身で食べるべき。煮付け、塩焼きなどもできるが、冬はやはりちり鍋に限る。頭も内臓もぶち切りにして味噌でぐつぐつ煮る。これを肴に常温の大吟醸をコップで傾ける。至福の時であろう。


      船去って鱈場の雨の粗く降る     寺山修司
      大鍋に肝浮く鱈の番屋汁       山崎羅春


  仙台の冬の夜市をふたりゆき塩辛き鱈を買ひし思ほゆ
                        木俣修


木俣の歌の鱈は、残念ながら美味くなさそうだ。