天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

下曽我、如月一日

富士と梅林

 国府津駅を出て国道一号線沿いに歩いていると、金物屋の店先に湯たんぽがいくつも並べて売っている。今の時代にも湯たんぽが売れることに驚いた。
 俳句では、湯婆(たんぽ)が冬の季語で、湯たんぽは傍題。



      湯婆抱いて大きな夢もなかりけり  大須賀乙字
      湯婆などむかしむかしを売る小店  杏田朗平


 今年の小田原梅まつりは、2月2日(土)から29日(金)まで開催される。38回目になる。毎年のように出かけており、流鏑馬のことも写真を入れて紹介したことがある。
開催中の土、日は、当たり前だが、大変な人出になる。道路も自動車で一杯になる。それで今年は、梅まつりが始まる前に行ってきた。梅の花はほとんど咲いていなかった。


      水仙の庭に石臼うづくまる
      湯たんぽの皺なつかしき日向かな
      下曽我梅の花訪ふ朝の風
      剪定の枝炊くけむり梅ま白
      紅梅の梢透かして雪の富士
      百歳の祖母すこやかに梅ましろ
      朝光のどんどの跡や道祖神
      白雲が灰色に見ゆ富士の雪  
      
  兄弟の仇討今に伝へたり富士のふもとの砲撃の音
  天地にとどろきわたる砲撃の音におびゆる曽我の梅林
  国を護る音と思ひて耐へにけり梅咲きそめし下曽我の里
  白雲の陰を濃くせり如月の空にかがやく雪の富士山
  梅の花の梢に透きて見ゆ雪かがやける富士の頂き