天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ウミウの岬(続)

城ヶ島にて

 去年の十一月上旬(ブログでは十日)、城ヶ島を訪れた時には、海鵜の岬に鵜の姿はなかった。未だ飛来していなかったのだ。時期がきたら居るべきところに居るかどうか、確かめずにはいられないのが、わが性分である。よって今年になってあらためて城ヶ島に行ってきた。横の画像のように、例年のとおり海鵜の群は健在であった。


      鵜の寿命想ひ見るなり春の潮
      春の潮指先赤く海苔を摘む


  道なりに咲く水仙を見つつ来し展望台は断崖に立つ
  寄せて立つ潮のしぶきに動ぜざり黒斑ちらせる海鵜の岬
  ちかくまで観光船の近づきて大きく揺れし海鵜の岬
  少しでも近くに見むと断崖の道を下り来し海鵜の岬
  砂浜に若布乾きて臭ひけり近々見ゆる海鵜の岬
  海鵜見て波打際に残したるわが足跡を消す春の潮  
  出迎への舟をたのみて釣すらむ波高まれる沖の岩礁     
  島めぐり客待つ舟の四、五艘が入江にうかぶ城ヶ島
  島めぐり舟が入江を出でゆけり底に座れる客五、六人
  しぶき立つ岩場にありて釣竿を振れど釣れざり鴎浮く海
  岩礁に春の潮は渦巻きて白く泡立つ青き海原
  春雪の富士の裾野の見え隠れ海のかなたに垂るる雨雲
  岩海苔を摘む指先の赤きかな春のうしほの洗ふ渚に