天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

椋鳥(続)

藤沢

 昨年12月5日に取り上げたが、今回は藤沢の新林公園を歩き回って、なんとか自力で右のような写真を撮ることができたので、再度とりあげる。前回は、土屋文明の歌を紹介したが、今回は次の二首を。


  群れ群れて空飛びめぐる椋鳥は向変ふる時
  かがやきにけり       半田良平
                     
  椋鳥の夕べあまたの群がりて大木は渦なす声
  にふくらむ         久泉迪雄
                     

九州より北の地域で繁殖する留鳥。大群で空を飛び、街路樹に群れて夜を過ごす様は壮観である。平地から低山の林に棲むが、時に人家の屋根や戸袋の隙間に巣を作り、青い卵を産む。


      里山の池を奔るや枯葉舟
      啄木鳥の姿目に追ふ春の山
      リスの声ひときは高き春の山


  啄木鳥がくぬぎの枝を打つ音の高くひびかふ里山の春
  里山の雑木林に「『赤光』の生誕」を読む春風の声
  里山クヌギ、コナラを騒がせてリス走るなり交尾の季節
  落葉つむ木の下道にかさこそと餌を探せる山鳩の群
  ひとときをクヌギの枝にふくらみて朝をまどろむ椋鳥の群