天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ムクドリ

大磯鴫立庵にて

 日本全国に分布する。シベリア、樺太、中国でも繁殖。木の穴や屋根の隙間に巣をつくり、青い卵を産む。繁殖期以外は群生し、数千羽の大群になることがある。昆虫、木の実を食べるが、都市では糞や鳴き声の被害に遭うことも多い。ムク、白頭翁とも。俳句では秋の季語。


     あれ程の椋鳥をさまりし一樹かな  松根東洋城


  山あひより雲かとばかり椋鳥の群なし空にわきあがりたり
                     渋谷 哲
  ビルひとつ壊され広き夕空を一羽もこぼさず椋鳥渡る
                     阿部 綾
  十月の夕空ふかく飛び去りぬさらば純粋むくどりの群れ
                     狩野一男
  椋鳥の去りたる庭に熟柿食ふひととき吾は小鳥となりて
                     高橋宗伸
  心臓のごとまた魂のごとくして椋鳥の群は伸縮をする
                     三井 修


  鴫立庵庭の木末にムクドリ卯月二日の朝日をあぶる
  藁屋根の春の朝日をよろこべる鳩と椋鳥羽根をつくろふ