天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

伊勢海老

初島にて

 甲殻類イセエビ科で、太平洋岸の房総以南に棲む。浅海の岩礁で、貝、ゴカイ、エビ、蟹などを食べて生きている。



  ふるさとの海もまぼろしとなる今を夢に
  届きし伊勢海老うごく     生方たつゑ               
  *作者は身動きもままならぬくらい病んでいるようだ。夢の中で、
   故郷から届いた伊勢海老が動いているのだ。環境問題で、故郷
   の海が死んでしまった、ということではないだろう。


  伊勢蝦のスープに心充たせしが雪やみてしばし月の虹みゆ
                 尾崎左永子
  *どこかのホテルで夕食をとっている情景であろう。さっきまで
   雪が降っていたのが、今は止んで月に虹が掛かったような輪が
   見える。幸せなひと時を詠んだ。