天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

藤沢新林公園にて

 周知のように春の七草の一つ。芹摘は古代より早春の野遊びでもあった。俳句では春の季語であるが、傍題に根白草、根芹、田芹、芹摘む などある。1月遅くとも2月に取り上げると春を寿ぐ気分がでる話題なのだが、今頃になってしまった。



      芹の香の朝粥で足り京泊り  能村登四郎
      芹の水葛城山の麓より    矢島渚男


  あかねさす昼は田賜(た)びてぬばたまの夜の暇(いとま)に
  摘める芹子(せり)これ       万葉集・巻二014455
                    

  真間の野の芹生の水のゆきよどみゆきさ迷ひてつひにあとなし
                    太田水穂
  枯れ萱のなかにほのかに水湧きて春の愁いのごとき芹萌ゆ
                    馬場あき子
  夕食にわれの食ひしは母が手を汚してつみて来し冬の芹
                    外塚 喬