天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

つつじ

ミツバツツジ

 「短歌人会」の川井怜子さんから、万葉集研究会で躑躅の歌を紹介されたとのことで、次の二首を教えてもらった。


  細領巾(たくひれ)の鷺坂山のしろつつじ
  われににほはね妹に示さむ
             柿本人麻呂歌集より
                       
  傘ふかうさして君ゆくをちかたはうすむらさきにつつじ花さく
                 与謝野晶子


これに刺激されて、万葉集に当たると9首ばかりが載っていた。近現代短歌の躑躅の歌も見て比較してみたが、この二首はなかなか佳いと感じた。
ちなみに鎌倉では、安養院が躑躅の名所。今の時期は、すでに散ったり枯れ始めているが、素人カメラマンたちが門前に群がって撮影のチャンスを窺っている。
  
  山門を入りくる女咲き満てるつつじの花に顔の明らむ
  ちるほどに躑躅咲き満つ鎌倉の最も古き宝篋印塔
 

      咲き熟れて散るばかりなる躑躅かな
      躑躅咲く蜂の羽音のわき立ちて
      み仏の顔もあからむつつじかな